本のプチ感想
君たちはどう生きるか(漫画版)
青年〜社会人に向けた道徳の本だ。めっちゃ道徳の本だ。
生きるにはこういう心構えで居なくてはいけない。みたいな。
硬派めで、日本人が好みそうな感じのソレ。そう感じた。
展開だが、漫画のエピソードパートと文章の手紙パートに分かれている。
エピソードについての教訓や感想などを、手紙パートの中で「おじさん」から「コペルくん(中学生)」に送られる。というもの。
手紙パートは文字だけで20ページほどにもわたり、漫画版と思って読むと苦労した(通勤電車の中であまり小さい文字は読みたくなかった)
読む前に、レビューの中で「とても感動した。子供にも読ませたが、あまり伝わらなかったようだった。」みたいのがあった。読んでみて、ウーンと思った。確かに前述の通り道徳の本で、子供に読ませたくなる気持ちはよくわかる。
自分の子にもコペルくんのように沢山心構えを吸収して、思慮深い子に育って欲しいと思ったのだろう。
けれど、子供に渡すには向いていないと思った。なぜなら、吸収する準備ができていないからである。
主人公のコペルくんは、身の回りの出来事で傷ついたり、深く考えたりした。それを見たおじさんがその出来事についてまた考え、自分なりの答えを表現して手紙にした。だからコペルくんは素直に吸収できるのである。
(そもそもコペルくんは物語の中であるが。それは一旦置いておく。)
現実の中学生が、「自分の身に起こってないエピソードに対し、知らないオジサンが書いた教訓」を親に渡され、何を吸収できるのか。
親はいいよ。わざわざ読まなくて良い書籍を自腹で買うんだから、吸収しよう(元を取ろう)という気持ちも沸く、感動もするだろう。そのまま渡しちゃいけんよ。
手紙は諭すような書き方だが、諭すという行為は受け手が「自分に向けられている」と思わないと聞きにくいのではないか。自分に考えと語りの時間を割かれてこそ効くのであって、メディアに流した諭しになんの力があるというのか。
(校長先生のスピーチがつまらないのはここにある説を唱えてみる)
というわけでこの本は、自分で読んで自分の糧にするか、自分で読んで人に自分の言葉で伝えなくちゃいけない本だなと思ったりした。書いている内容としては悪くないと思う。大人になるとなかなか諭してくれる人はいないからね。なんか新鮮でした。
今も書店で大量に置いていると思うので、教育者や親御さん、諭されたい人や興味のある人は読んでみても良いかもしれません。
追記
自分で読み返して見て、メディアに流した諭しに意味がないなら、この本に意味はないじゃないかって思えてしまった。
吸収しようとするかどうかは受け手次第なので、意味がないことはないのだが。
ただ、この本に少し不満があった。吸収し難い部分もあった。
つまり何が言いたいかと言うと
結局、私には合わなかった!
合わないなりに吸収しようとすると、上の文章っぽくなるっていう形かね。