BEASTARSは面白いけどちょっとズルい

マンガ「BEASTERS」の話をします。

2018年「このマンガがすごい!」賞にも選ばれた作品です。

最新巻である11巻で話がひと段落しましたので、今から全巻セットを買うなどするとちょうどよく楽しめますよ!

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今回はネタバレ控えめにいきます。映画と違ってエピソードも多いし。

 

 

 

世界観は動物だけの世界。ざっくり言うとリアル調のズートピア

主に学園物で、演劇部(美術チーム)のハイイロオオカミが主人公となる。

 

本作で面白いのはパワーバランスがグチャグチャなところだ。

まず先輩/後輩関係。男性/女性関係。

そして人間界には存在しない、肉食/草食動物関係。これらが絡みあうのが面白い。

 

この世界では肉を食べるのは法律上禁止となっていて、肉食動物も普段は肉を食べていない。しかし動物としての体格差、力差が圧倒的で、そこに人間では存在しない問題が度々起こる。

 

例えば

・ネズミ系小動物が踏み潰されそうになるシーン

・部活動のストレッチ中に肉食動物が草食動物の腕をちぎってしまうシーン

・肉食動物が草食動物を食殺してしまうシーン

・別の動物との恋愛に関するタブー感

・動物同士の力差、喧嘩の強さ

・鼻の効きの良さから自分だけが真相を知ってしまう

などなど。

 

草食動物は肉食動物にやや怯えながら(警戒しながら)生きている。そういうパワーバランスがある。

 

ウサギとオオカミの恋愛模様もあったりするが、これはロリコンに近いものがあるらしいし。

食欲と性欲がごっちゃになったり、抗おうとしたりして。

パンダという、クマのくせに草食な生物もいたりして。

 

そもそも本能もあるのだ。肉食は草食を食いたいという本能が。

 

 

ややこしいな?

 

 

 

 

 

動物っていう軸を加えるだけで一気に学園モノ書くの楽しく、ラクになりそうだな!って思った。別に僕は物語を書く人じゃないけど。

 

タイトルに面白いけどちょっとズルいと書いたのはコレなんだよな。

設定勝ちなんだよ。設定の時点でゲームバランスが整っている。

 

 

Q.動物らは意思を持っている。オオカミもシカもウサギもリスもネズミも。でも虫は意思を持っていない。なぜ?

A.そういう世界観だから。

 

Q.肉食と草食が共存する社会はどう誕生したのか?共学の学校はどうやって設立できたのか?

A.描かれていない。

 

また、そんな世界観にしたら当然発生することが発生する。

           ↓

それは人間界にない、見慣れないものだから面白い。

動物への知識もあるので納得もいく。腑に落ちる。面白い。

 

第一、動物の本能なんて動物にしか分からないじゃないか。それを漫画に描きやすい具合にステータスを調整している。ズルい。そんなの面白いに決まってるじゃん。

 

犬の動画に人がアテレコするようなものですよ。可愛いに決まってるじゃん。

 

 

 

 

そんな。ズルくも面白い漫画です。ぜひお試しください。

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

昨年の11月〜12月にこのBEASTERSと、約束のネバーランドを買って一気読みしたんですよ。どっちも面白くて、少なくともどっちかはブログに書きたいなーとか思ってた。

どちらも意思を持つ生物が食べられる物語なんですけど。

 

腕力に訴えるとか、抗うとか、食べるとか。自分のそういう価値観が変わりそうで少し怖かったです。

何も己の手で殺すことなく食事ができたり、身を守る努力をせずに生き残れるこの世界も結構異常ですよね。

 

…みたいな、そういう価値観。